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【両国の歯医者が解説】知覚過敏はなぜ起こる?歯がしみる原因とセルフケア・対処法

2026.06.14

「冷たい水を飲んだとき、歯がキーンとしみる」
「歯ブラシが当たると、一瞬ピリッと痛む」
「甘いものや風が当たっただけでしみることがある」

このような経験はありませんか?むし歯ではないのに歯がしみるこの症状は、「知覚過敏(ちかくかびん)」かもしれません。

知覚過敏は、とても身近なお悩みです。研究によって幅はありますが、複数の調査をまとめた研究では、平均しておよそ3人に1人(約33%)にみられたと報告されています(Zeola ら, 2019年)。決して特別なことではなく、多くの方が経験する症状なのです。

この記事では、知覚過敏が起こる仕組みから、ご自宅でできるケア、歯科医院での対処法まで、歯科医師の立場からわかりやすくご説明します。

実際に当院でも、
「むし歯かと思って来たら知覚過敏と言われた」
「しみるのが気になって冷たいものを避けている」
「歯磨きのときだけしみるが、放っておいて大丈夫?」
といったご相談をいただくことがあります。

「しみるくらいで受診してよいのかな」とためらう方も多いのですが、知覚過敏と、しみの背後にあるむし歯などを見分けることは、とても大切です。当院では、ただ症状を抑えるだけでなく、「なぜしみるのか」という原因を確認したうえで、その方に合ったケアをご提案することを大切にしています。


目次

  1. 知覚過敏とはどんな状態?
  2. なぜ歯がしみるの?知覚過敏の仕組み
  3. 知覚過敏を引き起こす主な原因
  4. 自分でできるセルフケア
  5. 歯科医院での対処法
  6. こんなときは早めに受診を
  7. よくある質問(Q&A)
  8. まとめ

1. 知覚過敏とはどんな状態?

知覚過敏とは、正式には「象牙質知覚過敏症(ぞうげしつちかくかびんしょう)」と呼ばれます。むし歯や歯の神経の炎症がないのに、冷たいもの・甘いもの・歯ブラシの刺激などで、歯が一時的にしみたり痛んだりする状態のことです。


刺激を受けた瞬間にキーンとしみて、刺激がなくなるとスッと治まる——これが知覚過敏の大きな特徴です。

ズキズキとした痛みが続く場合は、むし歯や歯の神経の炎症など、別の原因が考えられます。


2. なぜ歯がしみるの?知覚過敏の仕組み

歯がしみる仕組みを知るために、まず歯の構造を簡単にご説明します。

歯の表面は、エナメル質という硬い層で覆われています。その内側には象牙質(ぞうげしつ)があり、さらに中心には歯の神経(歯髄)が通っています。

この象牙質には、「象牙細管(ぞうげさいかん)」という、神経につながるごく細い管が無数に通っています。


イメージしやすい例で説明すると——

象牙細管は、神経まで通じる「細いストロー」がびっしり並んでいるようなものです。通常はエナメル質や歯茎というフタで守られていますが、何らかの原因でこのストローの入り口が露出すると、外からの刺激(冷たさなど)がストローの中の液体(水分)を動かし、その動きが神経に伝わって「キーン」としみると考えられています。

つまり知覚過敏は、本来は守られているはずの象牙質が、外に露出してしまうことで起こります。


3. 知覚過敏を引き起こす主な原因

象牙質が露出する原因には、いくつかのパターンがあります。

① 歯茎が下がる(歯肉退縮)

歯茎が下がると、歯の根元が露出します。根元の部分はエナメル質に覆われていないため、刺激に弱く、知覚過敏が起こりやすくなります。歯肉退縮は知覚過敏の代表的な原因のひとつです。


② 強すぎる歯磨き

力を入れすぎたブラッシングや硬い歯ブラシの使用は、エナメル質や露出した象牙質をすり減らし、知覚過敏につながることがあります。良かれと思った歯磨きが原因になっているケースは少なくありません。

③ 歯ぎしり・食いしばり

歯に過剰な力がかかると、歯の根元あたりが欠けたりすり減ったりして、象牙質が露出することがあります。

④ 酸による歯の溶解(酸蝕)

酸性の強い飲食物(炭酸飲料・柑橘類・お酢など)を頻繁にとると、エナメル質が少しずつ溶けて薄くなり、しみやすくなることがあります。

 

⑤ ホワイトニング後の一時的なしみ

ホワイトニングの後に一時的にしみることがありますが、多くは時間とともに落ち着くとされています。

 


4. 自分でできるセルフケア

知覚過敏は、毎日のちょっとした工夫で和らげたり、予防したりできることがあります。

① 知覚過敏用の歯磨き粉を使う

知覚過敏向けの歯磨き粉には、しみる刺激を伝わりにくくする成分が含まれているものがあります。125件もの臨床試験(約12,500人)をまとめた大規模な研究でも、こうした知覚過敏用の歯磨き粉が、しみの軽減に役立つことが示されています(Martins ら, 2020年)。すぐにではなく、続けて使うことで効果を感じやすいとされています。

② やさしく歯を磨く

  • 適切な毛の硬さの歯ブラシを選ぶ(歯科医院で確認してもらうのが安心)
  • ペンを持つように軽く握ると力が入りすぎにくい
  • ゴシゴシ横に大きく動かさず、小刻みにやさしく磨く(当て方、磨き方の確認が必要)

③ 酸性の飲食物のとり方に気をつける

酸性の飲食物をとった直後は歯の表面が一時的にやわらかくなっているため、すぐに強く磨くのは避け、少し時間をおくとよいとされています。


5. 歯科医院での対処法

セルフケアで改善しない場合や、しみが強い場合は、歯科医院でいくつかの対処法があります。

① しみ止めの薬剤塗布・コーティング

露出した象牙質の表面に薬剤を塗ったり、コーティング材で覆ったりして、刺激が神経に伝わりにくくする方法があります。

② フッ素の塗布

フッ素には歯の再石灰化を促す働きがあり、象牙質を強くして、しみを和らげるサポートが期待されます。

③ かみ合わせの調整・ナイトガード

歯ぎしりや食いしばりが関係している場合は、かみ合わせの調整や、就寝中のマウスピース(ナイトガード)が選択肢になることがあります。

④ 露出した部分を詰める処置

歯の根元が大きくすり減っている場合は、その部分を歯科用の材料で覆う処置が検討されることもあります。

自己判断で市販品だけに頼らず、症状が続く場合は歯科医院でご相談いただくことが推奨されます。


6. こんなときは早めに受診を

知覚過敏の多くは心配のいらないものですが、なかには別の病気が隠れていることもあります。次のような場合は、早めに歯科医院を受診されることをおすすめします。

  • 刺激がなくてもズキズキと痛みが続く
  • しみる症状がだんだん強くなっている
  • 温かいものでもしみるようになった
  • しみる歯に黒ずみや穴が見える

これらは、むし歯や歯の神経の炎症などのサインである可能性があります。「ただの知覚過敏」と自己判断せず、確認してもらうことが大切です。


7. よくある質問(Q&A)

Q. 知覚過敏は自然に治りますか?

A. 一時的なものは自然に落ち着くこともあります。

軽い知覚過敏は、原因が取り除かれれば自然に和らぐこともあります。ただし、歯肉退縮や歯ぎしりなど原因が続いている場合は、繰り返したり悪化したりすることもあるため、気になる場合は確認してもらうとよいでしょう。

Q. むし歯としみるのは何が違うのですか?

A. 痛みの続き方に違いがあることが多いとされています。

知覚過敏は「刺激を受けた瞬間だけしみて、すぐ治まる」のが特徴です。一方、むし歯や神経の炎症は「ズキズキと痛みが続く」傾向があります。ただし、ご自身で見分けるのは難しいため、判断に迷う場合は歯科医院でご相談ください。

Q. 知覚過敏用の歯磨き粉は本当に効果がありますか?

A. 継続して使うことで和らぐことが期待されます。

知覚過敏向けの歯磨き粉は、しみを伝わりにくくする成分を含むものがあります。すぐにではなく、ある程度続けて使うことで効果を感じやすいとされています。それでも改善しない場合は、別の原因が隠れていることもあります。

Q. しみるので、その歯を磨かないほうがいいですか?

A. 磨かないのは逆効果になることがあります。

しみるからと磨かずにいると、汚れがたまってかえって悪化することがあります。やさしく磨くこと、知覚過敏用の歯磨き粉を使うことなど、磨き方を見直すことが大切です。


8. まとめ

知覚過敏について、ポイントを整理します。

  • 知覚過敏とは、むし歯がないのに刺激で一時的に歯がしみる状態
  • 原因は、歯肉退縮・強すぎる歯磨き・歯ぎしり・酸蝕などさまざま
  • セルフケア(専用歯磨き粉・やさしい歯磨き)で和らぐことが期待できる
  • 痛みが続く・強くなる場合は、むし歯などの可能性もあるため受診を

「歯がしみる」というお悩みは、つい我慢してしまいがちです。しかし、その背景には人それぞれの原因が隠れていることがあります。

当院では、しみる症状をただ抑えるだけでなく、その原因を確認しながら、長くお口の健康を保つお手伝いをしたいと考えています。

「この程度で相談していいのかな」
「むし歯なのか知覚過敏なのか分からない」

そのような場合も、どうぞお気軽にご相談ください。一緒に原因を確認し、最適なケアを考えていきましょう。

歯がしみるお悩みは、両国デンタルクリニックにご相談ください


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参考文献

本記事の一部は、PubMed(米国国立医学図書館の文献データベース)に収載された、過去10年以内のシステマティックレビューを参考にしています。

1. Zeola LF, Soares PV, Cunha-Cruz J. Prevalence of dentin hypersensitivity: Systematic review and meta-analysis. J Dent. 2019;81:1-6. doi:10.1016/j.jdent.2018.12.015

2. Martins CC, Firmino RT, Riva JJ, et al. Desensitizing Toothpastes for Dentin Hypersensitivity: A Network Meta-analysis. J Dent Res. 2020;99(5):514-522. doi:10.1177/0022034520903036

※ 本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療の推奨を行うものではありません。お口の状態には個人差がありますので、具体的なご相談はかかりつけの歯科医師までお気軽にお申し付けください。